疾患の説明
眼瞼けいれんとは
  眼瞼けいれんとは、目の周りの筋肉がけいれんして、目があけにくくなり、まばたきがうまくできなくなる病気です。
 
脳内の運動を抑制するシステムが機能障害を起こすことによって生じると考えられています。しかし、発症の原因が完全には解明されていないため、症状を抑える治療が中心となっています。
  眼瞼けいれんの初期症状としては、まぶたの不快感、まぶしく感じる、まばたきが多くなる、などがあります。
 
症状が進行すると、まぶたが頻繁にけいれんし、目をうまく開けていられないため、人や物にぶつかるなど、生活に支障が出るようになります。さらに進行すると自分の意思ではまぶたをあけることができなくなり、視力には問題がないのに機能的に盲目状態になります。
  症状の進行は早くありませんが、何もしないでいて、自然に症状が軽くなることはほとんどありません。精神的な緊張の影響を受けることも多く、普段は重い症状があるのに、診察室では症状が出ないという例も見られます。また、症状は通常、両目に起こりますが、左右差があることも少なくありません。
  片側顔面けいれんは、通常、片側の顔面筋が自分は意図していないのにけいれんし続けてしまう病気です。 発症の原因としては、顔面神経が脳幹から出る部分で、血管によって圧迫されるために起こることが多いと考えられています。
  初期の症状は、左右どちらかの上まぶたか下まぶたのけいれんに始まり、進行すると、同じ側の目の周りの他の筋肉や口の周りの筋肉もけいれんするようになります。重症になると、けいれんが持続するようにります。症状は眠っている最中でも治まりません。
  ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンを注射して、緊張している筋肉を麻痺させ、筋肉の緊張によって起こる眼瞼けいれんや片側顔面けいれんの症状を改善する治療方法です。
 
ボツリヌストキシンは天然のたんぱく質でできた毒素のことです。このことから、使用をためらう方もいらっしゃいます。しかし、ボツリヌストキシンは、規定の講習実技セミナーを受講した医師が正しく使えば、決して危険な薬ではありません。効果は劇的で、治療を受けられた患者さんは大変喜ばれることが多いです。
 
このボツリヌス療法は、現在日本では眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸のみに対して承認されている治療方法です。